厚生労働省と日本歯科医師会では80歳で20本の歯を残す事を目標とした「8020運動」を提唱しています。
しかしながら厚生労働省が定期的に行っている歯科疾患実態調査では80歳の一人あたりの平均残存歯数はたった4本であり、達成すべき目標とはかなりのへだたりがあります。その事は多くの高齢者が義歯を使用している事からも明らかです。なぜ加齢と共に歯は失われるのでしょうか?
歯の喪失の原因としてむし歯と歯周病によるものが9割以上を占めています。現在、むし歯の治療に関しては、予防法も治療法も確立され、普及してきました。万が一むし歯になっても歯を抜かなければならないほど放置する人はまれです。つまり、多くの人が歯周病で歯を失っているのが現状なのです。自分自身の歯を長持ちさせるためには、この歯周病の治療と予防は国民的課題と言えましょう。
また、従来、歯周病は「一般歯科」の中に位置付けられていましたが、患者様にとっては、本当に治るのだろうか?と言う疑問が大きいと思われます。事実、歯周病の分野は比較的新しい学問であり、治療内容も複雑なのが現状です。そのため、歯周病に対する的確な診査、診断治療の行える歯科医師は現在のところ、残念ながら小数に限られています。さらにその少数の先生を見つけるのは非常に困難です。
そこで、従来から日本歯周病学会では、一定の臨床経験と知識などを試験し、その合格者に対して、「日本歯周病学会認定医」という資格を授与していましたが、2004年10月5日、厚生労働省より歯周病専門医が許可され、本格的に、認定医から専門医制度に移行しました。現在、この歯周病専門医の治療を受ける事が、的確な歯周治療をうける一番の近道だと思われます。予防から最先端治療までも網羅する歯周病専門医。歯の健康についての認識が高まる中で、その手腕に大いなる期待がかけられています。